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タイ不動産売却時の源泉徴収税:2026年版・正確な計算方法と注意点

タイ不動産売却時の源泉徴収税:2026年版・正確な計算方法と注意点
Photo: Maksim Romashkin / Pexels
要点

プーケットやパタヤの物件を売却する際、タイ土地局は名義移転の当日に源泉徴収税を徴収します。個人売主には5〜35%の累進課税、法人売主には査定額の1%が適用され、その他の諸費用を合わせると売主の税負担は査定額の6%を超えることもあります。

タイでコンドミニアムやヴィラを売却すると、土地局(Land Department)が名義移転の当日に売却代金から直接税金を天引きします。つまり売主が実際に受け取る金額は、契約書に記載された価格より少なくなります。その差額を左右する要素は主に三つ、(1)所有期間、(2)土地局の査定価格、(3)売主が個人か法人かです。

個人売主の場合は5〜35%の累進税率が適用され、所有年数によって課税ベースが調整されます。法人売主には査定価格または登記価格のいずれか高い方に対して一律1%が課されます。なお、この源泉徴収税はあくまでも前払いであり、年次確定申告で精算されます。源泉徴収税に加え、移転登記手数料と、保有期間に応じた特定事業税(SBT)または印紙税も発生するため、売却時の総税負担は査定額の6.3%以上に達することもあります。

ポイントまとめ

  • 個人の源泉徴収税 - 所有年数で課税ベースを割り引いたうえで、5〜35%の累進税率を適用
  • 法人の源泉徴収税 - 土地局査定額に対して一律1%
  • 移転登記手数料 - 査定額の2%(買主・売主で折半が一般的)
  • 特定事業税(SBT) - 購入から5年未満の売却に**3.3%**が課税
  • 印紙税 - 所有期間が5年超の場合にSBTの代わりに**0.5%**が適用
  • すべての税金は土地局での名義移転登記当日に一括納付(後払い不可)

ケーススタディ

ケース1:個人が3年保有後にコンドミニアムを売却

外国人投資家がバンコクのコンドミニアムを500万バーツで購入し、3年後に600万バーツで売却するケースを考えます。土地局の査定価格は520万バーツとします。

源泉徴収税の計算は、まず査定価格を所有年数(最低1年)で割ります。520万 ÷ 3 = 約173万バーツが「年換算課税所得」となり、これにタイ税法(歳入法第50条)の累進税率を当てはめます。算出された年間税額を再び3倍にしたものが最終的な源泉徴収税です。

このケースでは源泉徴収税はおよそ15万〜18万バーツになります。これにSBT(査定額の3.3%、約17.2万バーツ)と移転登記手数料の売主負担分(約5.2万バーツ)を加えると、売主の総税負担は約37万〜40万バーツ、査定額に対して6.5〜7%程度になります。

ケース2:法人(タイ法人)による売却

タイ法人がプーケットのヴィラを売却するケースです。土地局査定価格を1,500万バーツとすると、源泉徴収税は1%の150,000バーツです。保有期間が5年未満であればSBT3.3%(495,000バーツ)、移転登記手数料2%(300,000バーツ)が加わり、合計は約**945,000バーツ(査定額の6.3%)**になります。

注意が必要な点として、法人の場合、1%の源泉徴収税はあくまでも法人所得税(20%)の前払いです。売却益は年次決算時に法人税率で課税され、前払い分は税額控除として充当されます。

ケース3:個人が6年保有後に売却

5年を超えて保有すると、SBT(3.3%)の代わりに印紙税(0.5%)が適用されます。査定額1,000万バーツの物件で比較すると、SBTなら33万バーツ、印紙税なら5万バーツと、28万バーツの差が生まれます。さらに源泉徴収税の計算でも6年で割るため、年換算課税所得が下がり、低い税率区分が適用されやすくなります。

5年超保有することで、早期売却と比べて査定額の3〜4%程度を節税できる計算です。

比較表

項目個人(5年未満)個人(5年超)法人(5年未満)法人(5年超)
源泉徴収税5〜35%(累進)5〜35%(累進)一律1%一律1%
特定事業税(SBT)3.3%非該当3.3%非該当
印紙税非該当0.5%非該当0.5%
移転登記手数料2%(折半が一般的)2%(折半が一般的)2%(折半が一般的)2%(折半が一般的)
総税負担の目安6〜9%3〜5%約6.3%約3.5%
確定申告での控除可(法人税に充当)可(法人税に充当)

よくある失敗と注意点

1. 契約価格を低く申告しても節税にならない 土地局は独自の査定額を基準に税金を計算します。申告価格が査定額を下回る場合は査定額が、契約価格が査定額を上回る場合は契約価格が課税ベースになります。価格を低く申告しても節税効果はなく、むしろ税務当局から調査を受けるリスクが生じます。

2. 所有年数の数え方を間違える 土地局は「開始した暦年」を1年として計算します。たとえば2023年12月に購入し2026年1月に売却した場合、実際の期間は約2年1か月ですが、3年として扱われます。この計算方法は売主に有利に働くため、売却タイミングを検討する際に活用しましょう。

3. 租税条約(DTT)の恩恵を見落とす タイは複数の国と二重課税防止条約を締結しています。土地局に支払った源泉徴収税は、売主の母国での所得税から控除できる場合があります。その際、土地局が発行する納税証明書と認証翻訳が必要です。クロージング前に税務の専門家に確認することを強くお勧めします。

4. 源泉徴収税とキャピタルゲイン税を混同しない タイには個人向けの独立したキャピタルゲイン税は存在しません。源泉徴収税は利益ではなく査定価格全体を基準に計算されます。欧州の税制とは根本的に異なるため、外国人投資家が驚くケースが多く見受けられます。

5. プレセール物件のSBTを予算に組み込む オフプランで購入し1〜2年以内に転売する場合、3.3%のSBTを財務計画に入れていないことがあります。500万バーツの物件なら約16.5万バーツとなり、期待リターンに大きく影響します。

6. タイ税務識別番号(TIN)の取得を忘れない 外国人売主は取引完了前に、管轄の歳入局でTINを取得する必要があります。手続きには通常1〜2営業日かかります。TINなしで土地局に出向いても名義移転ができないため、余裕を持って準備してください。


タイでの不動産売却を検討されている方は、タイ不動産のエキスパートチームにぜひご相談ください。売却タイミングの最適化から税務専門家の紹介まで、トータルでサポートいたします。

よくあるご質問

源泉徴収税は買主と売主のどちらが負担しますか?

源泉徴収税は売主の負担です。名義移転登記当日に売却代金から天引きされ、土地局に直接納付されます。買主が立て替えるケースも契約によってはありますが、法的には売主の義務です。

5年以上保有することで、具体的にどのくらい税金が安くなりますか?

最も大きな効果は特定事業税(SBT)から印紙税への切り替えです。査定額1,000万バーツの物件の場合、SBTは33万バーツですが印紙税なら5万バーツと、28万バーツもの差が生まれます。さらに源泉徴収税の計算でも保有年数が増えるほど年換算所得が下がり、適用税率が低くなる効果もあります。

タイの源泉徴収税は日本の確定申告で控除できますか?

日本とタイの間には租税条約(二重課税防止条約)が締結されており、タイで支払った源泉徴収税は日本の所得税から外国税額控除として差し引ける場合があります。適用には土地局発行の納税証明書と認証翻訳が必要です。具体的な手続きは税理士にご確認ください。

売却して損をした場合(売却価格が購入価格を下回る場合)でも源泉徴収税は発生しますか?

はい、発生します。タイの源泉徴収税は利益(キャピタルゲイン)ではなく土地局の査定価格を基準に計算されるため、赤字売却であっても納税義務があります。これはキャピタルゲイン課税の仕組みとは根本的に異なる点であり、タイ不動産投資特有のリスクとして事前に把握しておくことが重要です。