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米国債4.78%時代、プーケット不動産は「利回り」で選ぶ意味を失ったのか

米国債4.78%時代、プーケット不動産は「利回り」で選ぶ意味を失ったのか
Photo: Erik Karits / Pexels
要点

米10年債が4.78%まで上昇し、無リスクのドルが実質5%近くを稼ぐ時代になった。プーケットのコンドミニアムを検討する日本人投資家にとって、この数字は無視できないハードルレートになっている。

「利回り6%保証」という売り文句を見て、それが本当にお得なのかどうか、一度立ち止まって考えたことはあるだろうか。

2026年9月1日時点で、米10年国債の利回りは4.78%まで上昇した。日本の10年債もついに3%に達し、かつて「永遠にゼロ近辺」と思われていた市場が一変した。欧州の国債利回りも15年ぶりの高水準にある。これはもう債券トレーダーだけの話ではない。プーケットでコンドミニアムを買うかどうかという判断にも、直接効いてくる数字である。

結論を先に言えば、無リスクのドル資産が約4.78%を稼ぐ以上、プーケットの投資物件は「その水準を上回る実質利回りを、リスクプレミアム込みで示せるか」が最低条件になる。これを満たせない案件は、以前なら魅力的に見えても、今は素通りすべきだ。

なぜ日本の金利上昇がプーケット不動産に関係するのか

長年、日本の低金利は「円で借りてアジアの不動産や高利回り資産に投資する」というキャリートレードの原資になってきた。日本の10年債が3%を付けたことで、その構図が崩れつつある。自国で3%が得られるなら、わざわざタイのバーツリスクや管理会社リスクを取る理由が、以前より弱くなる。

これは東南アジア全体からマネーを引き戻す圧力であり、プーケットだけの問題ではない。ただし、プーケット向けの資金の出し手として日本人投資家が一定の存在感を持ってきた以上、この変化は無視できない。

米10年債4.78%は具体的に何を意味するのか

4.78%というのは、税引前・信用リスクゼロ・即時流動性ありのドル利回りである。プーケットの賃貸物件は、このどれも満たさない。バーツの通貨リスクがあり、管理会社への信頼が必要で、売却には時間がかかる。

かつて無リスク金利が1.5%だった時代には、「年6〜7%の賃貸利回り」という約束は、無リスク金利の4倍以上のプレミアムに見えた。今、無リスク金利が4.78%まで上がると、そのプレミアムはわずか数ポイントに縮む。そのわずかな上乗せのために、バーツ変動、低シーズンの空室率、管理会社の取り分、メンテナンス費、税金、そして「今日売って今日現金化できない」という不便さを、すべて引き受けることになる。この計算はもはや自明ではない。

ブレント原油91ドルは建設コストにどう跳ねるのか

ブレント原油は1バレル91ドル近辺、欧州の天然ガスも数年ぶりの高値にある。タイは原油をほぼ輸入に頼る国であり、これは輸送費と建設資材費に直接反映される。

新築コンドミニアムの建設コストが上がれば、完成済みプロジェクトの値下がりは考えにくい。値引きが出やすいのは、資金繰りに苦しむ開発会社の早期段階の物件であって、すでに建ち上がった建物ではない。ここは「金利が上がれば不動産価格は下がる」という単純な図式が、そのままでは当てはまらない場面である。

プーケットは日本の住宅ローン発想が通用しない市場

「金利が上がる → ローンが高くなる → 需要が減る」という教科書的な連鎖は、実はプーケットには直接当てはまらない。外国人がタイの標準的な住宅ローンを組むケースはほとんどなく、購入の大多数は現金一括か、開発会社の分割払いプランによる。つまり、FRBの利上げが住宅ローン金利を通じて需要を直接押し下げる経路が、そもそも存在しない。

影響が出るのはむしろ二つの別の経路からだ。一つは、先述した「代替となる無リスク利回りとの比較」。もう一つは、買い手の懐事情そのものである。ユーロ圏の投資家が、自分のビジネス向け融資の金利上昇に直面すれば、セカンドハウスの購入を先送りする。オーストラリアでは、利上げサイクルが価格に織り込まれた途端、住宅関連株が真っ先に売られた。これは購入意欲がどこから萎むかを示す、わかりやすい前例である。

それでもタイ・バーツに分がある理由

高い原油価格や世界的な高インフレは、すべての国に平等に降りかかるわけではない。タイは米国や欧州に比べてインフレ率も政策金利も低い水準にあり、バーツは観光収入による経常収支の強さに支えられてきた通貨である。次にFRBが利下げサイクルに入り、ドルが全体として弱含む局面では、バーツ建て資産は今見えている以上に良いパフォーマンスを示す可能性がある。

ただし、これはあくまで可能性の話であり、為替の先読みを利回り計算に組み込むべきではない。通貨予測はどんな投資計算の中でも、最も当てにならない部分だ。

もう一つ押さえておきたい事実がある。プーケットの物件は収益資産であると同時に、消費財でもある。年に2ヶ月自分で住む部屋は、債券と直接比較するものではない。同じ期間、同等の物件を賃貸で借りた場合のコストと比べるべきものだ。年に3〜4ヶ月滞在し、ポートフォリオの一部として利回りを追求するつもりがないという読者には、ここまでの利回り議論はそもそも当てはまらない。

今、どんな物件を避けるべきか

私たちの見立てとしては、米10年債が4.78%という水準にある今、紙の上の「保証利回り」だけを頼りに未完成のプロジェクトを買うのは避けたい。その保証は、開発会社のバランスシートの強さと同じだけの価値しかなく、資金調達コストが高い今のサイクルは、まさに弱い開発会社が支払い義務を守れなくなる時期でもある。

選ぶべきは、少なくとも2シーズンの運営実績があり、予測ではなく実際の管理会社レポートを確認できる完成済みの建物だ。長い完成予定期間を抱え、無名の開発会社が高い保証利回りを掲げている案件は、このサイクルで最もダメージを受けやすい。

内覧のタイミングについても一言。低シーズンにこそ建物を訪れ、管理会社と話すべきだ。1月の満室スナップショットではなく、本当の稼働率が見えるのはこの時期であり、フライトも安く、混雑もない。

今買うべきか、それとも金利が下がるのを待つべきか

市場が現時点で織り込んでいるのは、9月のFRBとECBの利上げであり、緩和ではない。サイクルの反転を待つのは、今のマーケットの前提に逆張りするということだ。今の資金コストで数字が合う物件は、将来金利が下がればさらに条件が良くなる。今の数字で合わない物件は、待っても合わない可能性が高い。

手元の候補物件があれば、次の一点だけを確認してほしい。ドルベースの無リスク利回り4.78%を、ネットで上回るか。そして、5年間保有し続ける覚悟があるか。どちらかにでも「いいえ」と答えるなら、その物件は今回は見送るべきだ。

出典: CNA(チャンネル・ニュースエイジア)

よくあるご質問

米10年債が4.78%だと、プーケットのコンドミニアム価格は下がりますか?

完成済みで運営実績のあるプロジェクトの価格が大きく下がる可能性は低いです。値引きが出やすいのは資金繰りに苦しむ開発会社の未完成・早期段階の案件で、ブレント原油91ドル前後による建設コスト上昇もあり、新築物件の値下がりを抑える方向に働いています。

プーケットの物件購入でタイの住宅ローンは使えますか?

外国人が標準的な条件でタイの住宅ローンを組むケースはほとんどなく、購入の大多数は現金一括、または開発会社の分割払いプランによります。そのためFRBの利上げが住宅ローン金利を通じて需要を直接押し下げる経路は、日本や他の先進国のようには存在しません。

今のプーケットで妥当な賃貸利回りの目安は何ですか?

広告されている表面利回りではなく、管理費・税金・空室率を差し引いたネット利回りで判断すべきです。目安として、ドルベースの無リスク金利である4.78%を、リスクプレミアム込みで明確に上回る水準が最低条件になります。

日本の10年債が3%になったことは、プーケット不動産にどう影響しますか?

長年、円を低コストで借りてアジアの高利回り資産に投資するキャリートレードが東南アジアへの資金流入を支えてきましたが、日本国内で3%が得られるようになったことで、その構図の魅力が薄れ、地域全体への資金流入を鈍らせる要因になっています。