結論を先に:何が起きているのか
2026年上半期、タイの外国人向けコンドミニアム取引総数は前年比8.8%減少しました。しかしロシア人買主による取得だけは逆行し、75.9%増という驚くべき伸びを見せています。これは土地局(Department of Lands)のデータに基づくThe Nation Thailand紙の報道で、予約や仮契約ではなく「完了した所有権移転」の数字である点が重要です。つまり実需をもっとも正確に反映した指標だということです。
日本人買主にとっての意味はシンプルです。プーケットとチョンブリ(パタヤ)の人気エリアでは、外国人が購入できるフリーホールド枠がロシア人買主の急増によって想定より早く埋まりつつあり、良い物件を選べる時間的余裕は縮まっています。
なぜロシア人だけが増えているのか
中国とミャンマーからの買主は、それぞれ自国の経済的な圧力を背景に購買意欲が落ちています。一方でロシアにとってタイは、制裁の対象になっておらず、ビザなし入国も維持されている数少ない国のひとつです。EU圏の不動産へのアクセスが制限され、ドバイへの銀行送金ルートも狭まりつつあり、さらにUAEの生活コストが上昇していることも、資金がタイへ向かう理由になっています。
この結果、ロシアは外国人買主の中で存在感を急速に高め、これまで市場を主導していた中国・ミャンマー勢を部分的に追い越す形になっています。
数字で見る現状
- +75.9%:2026年上半期、ロシア人買主へのコンドミニアム移転登記件数の伸び
- -8.8%:同期間の外国人向けコンドミニアム取引総数の減少率
- プーケットとチョンブリ(パタヤ):需要拡大の二大エリア
- 49%の外国人所有枠:1棟あたりの上限は変更なし。需要拡大に枠拡大が伴っていない
Exotic Propertyのデータによると、ロシアは全国の外国人買主の中で第2位に浮上し、383件の購入(前年比+33%)、投資額16.7億バーツ(+68.7%)、平均購入額は**436万バーツ(+26.8%)となりました。このうちプーケットだけでロシア資本の63.5%**を吸収し、156件・10.6億バーツ規模の取引が成立しています。
Sunway Estatesの別の推計では、1月から6月の総取引件数は820件(前年比+46.4%)、投資額は約6,070万ドル(+84.5%)とされ、Tranioが追跡した購入問い合わせのうち約63.2%がプーケット向けでした。
プーケットとチョンブリ、価格帯はどう違うのか
| 項目 | プーケット | チョンブリ(パタヤ) |
|---|---|---|
| 新築'コンフォートプラス'クラスの㎡単価 | 12万〜18万バーツ(約3,400〜5,100ドル) | 6万〜9万バーツ(プラトゥンナーム・ジョムティエン) |
| 1年前の入門価格帯 | 約10万バーツから | - |
| 主要エリア | バンタオ、ラグーナ、ナイハーン、ラワイ | プラトゥンナーム、ウォンアマート、ジョムティエン |
| 価格上昇の勢い | すでに加速中 | 加速し始めている段階 |
プーケットのバンタオやラグーナはビーチクラブや整った生活インフラへの近さが魅力で、ナイハーンやラワイはより手が届く価格帯と静かな環境が支持されています。チョンブリはプーケットに比べて割安な選択肢として位置づけられていますが、こちらも価格上昇のスピードが増しています。
賃貸利回りはどのくらい期待できるのか
プーケットの新築プロジェクトで提供される保証付き賃貸プログラムは、外貨ベースで年**5〜7%のリターンを想定するものが一般的です。オーナー自身が管理する物件では、ハイシーズンに8〜10%**に達するケースもあります。ただしこれらは市場の目安であり、契約条件やプロジェクトごとに保証内容は異なるため、個別の確認が不可欠です。
49%枠が埋まるとどうなるのか
コンドミニアム法(仏暦2522年法)により、1つのプロジェクト内で外国人が所有できる面積は総面積の49%までと定められています。この枠が使い切られると、開発業者は残りのユニットを30年のリースホールドとしてしか販売できなくなります。ロシア人買主の急増はこの枠の消化を加速させており、人気プロジェクトのフリーホールド在庫は想定より早く姿を消しつつあります。結果として、残されたフリーホールド物件の価格はさらに上がりやすくなっています。
2026年後半、市場全体はどう動くか
ロシア人買主の動きだけがすべてではありません。プーケットでは2026年中に39プロジェクトで1万戸を超える新築コンドミニアムが供給される見込みで、これは中国、欧州、インド、中東、そしてロシアを含む本当に多国籍な買主層からの需要を反映しています。つまり、良質なフリーホールド物件をめぐる競争は、単一国籍の動向を超えて広がっているということです。
2026年上半期の数字は、ロシア資本のタイ不動産市場への関与が「様子見」の段階から「本格展開」の段階へ移ったことを示しています。プーケットやパタヤでの購入を検討している方は、流動性の高い人気プロジェクトでフリーホールド枠が残っているうちに、具体的な検討を進めることをおすすめします。タイ不動産では、こうした市場動向を踏まえたプロジェクト選びのご相談を承っています。
出典:The Nation Thailand
